開票所別の得票数をもとにマトリクス分析を行ってみました。その結果、単なる接戦ではなく、その裏に潜む「構造的な勝敗」が浮かび上がってきました。得票率の単純比較では、現職の村井嘉浩氏と新人の和田政宗氏の差はごくわずかで、確かに激戦だったといえます。しかし、構造的に分析すると、和田氏がなぜ勝ちきれなかったのか、その原因が明確に見えてきます。

村井氏は投票規模の小さな開票所であっても、11か所で和田氏を圧倒的な得票率で上回っていました。これは、村井氏には非常にロイヤリティの高い支持層が存在していることを示しています。また、投票数の大きな開票所の多くを和田氏に奪われた一方で、小~中規模の開票所では僅差で競り勝つ構造が形成されていました。

一方で和田氏は、投票数の多い6つの開票所で村井氏に競り勝ったものの、村井氏に圧倒的な差をつける「ロイヤル支持エリア」が一つもありませんでした。仮にこの6つの開票所で、村井氏を圧倒するほどの差をつけることができていれば、結果は逆転していた可能性もあります。

しかしそのためには、村井氏の約1.7倍の戦力をこの6つの開票所に投入する必要があります。逆説的にいえば、他の開票所をあえて「捨て」、選択と集中によって戦力(リソース)をこの6か所に集約すべきだったとも言えます。

この分析から見えてくるのは、「どこで勝つか」を決めない戦いは、いくら得票率が高くても勝利につながらないという現実です。選挙もビジネスも同じで、リソースを分散させれば、すべての戦場で中途半端に終わります。村井氏の勝利は、戦力の総量ではなく、その配分構造の勝利だったといえるでしょう。