「完璧なゴールデンクロスで買ったはずなのに、なぜか直後になぞの急落……」 投資家なら誰もが一度は、市場という名の舞台で「裏切られた」経験があるはずです。この理不尽な現象は「ダマシ」と呼ばれますが 、実はこれ、チャートという「結果」だけを見ていることが原因かもしれません 。
多くの投資家が頼りにする移動平均線やボリンジャーバンドなどの「テクニカル分析」は、過去のパターンから未来を占う「相関ベース」の手法です 。しかし、市場の「構造」がガラリと変わるレジームチェンジが起きると、昨日までの必勝パターンは一瞬で通用しなくなります 。
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その上昇、中身は「筋肉」ですか? それとも「脂肪」ですか?
ここで視点を変えてみましょう。最新の分析手法「DSA(分布構造分析)」と「DAG(有向非巡回グラフ)」は、チャートの形ではなく、その上昇が「なぜ起きたか」という因果関係に注目します 。
例えば、同じ10%の株価上昇でも、その中身を分解すると全く別の物語が見えてきます 。
- 「健康的な上昇」: 企業の業績が伸び、それを見た機関投資家がどっしりと買いを入れる構造 。これは本物の「筋肉」です。
- 「危険な上昇」: SNSの煽りや個人の熱狂が火をつけ、空売りの買い戻し(踏み上げ)によって無理やり押し上げられた構造 。これは、いつ弾けてもおかしくない「脂肪」のようなものです。
テクニカル分析ではどちらも同じ「力強い陽線」に見えますが、後者は崩壊寸前のサイン。DAG(因果ベース分析)を使えば、この「質の違い」を鮮明に暴き出すことができるのです 。
「大口の売り抜け」を可視化する、市場の顕微鏡
さらに「DSA」という手法は、市場参加者の注文分布を解析します 。 恐ろしいのは、「株価は上がっているのに、買っているのは個人投資家ばかりで、プロ(機関投資家)はこっそり売り抜けている」という状況です 。これはまさに「天井圏」の典型的な分布構造ですが、チャートの形だけを見ていると、最高に強気なシグナルに見えてしまいます 。
DSAはこの分布の違和感を「過去の安定期との乖離」として数値化し、チャートが崩れる前に警報を鳴らします 。
まとめ:チャートの「向こう側」を見る視力
「何が起きたか(相関)」を知るのがテクニカル分析なら、「なぜ起きたか(因果)」を知るのがDSA+DAGです 。 投資において本当に必要なのは、表面的な値動きに一喜一憂することではなく、その裏で誰がどう動いているのかという「構造」を見抜く力(視力)です 。
次にチャートを見たとき、「この上昇の『エンジン』は何だろう?」と一歩踏み込んで考えてみる。それだけで、あなたの投資の解像度は劇的に変わるはずです 。
