AIを活用して資料作成をしていると、時折「事実と異なる文脈」が紛れ込むことがあります。AIが膨大な学習データからパターンを引き寄せ、もっともらしい文章をつくり上げる過程で生じる“早とちり”です。しかし、よく考えるとこれはAIだけの特性ではありません。私たち人間も、日常的に同じことをしています。

私はいくつかの特許技術を有していますが、クライアントに紹介すると、「知ってるよ、あれでしょ?」や「もうやってるから」といった反応を受けることがあります。これは決して相手が悪意を持っているわけではなく、自分の知識や経験と新しい情報を短絡的につなげてしまう“人間のAI的な働き”です。心理学的には、既存の知識構造(スキーマ)に合わせて未知の事象を解釈してしまう現象です。

問題は、その瞬間に本来の新規性や独自性が見えにくくなってしまうことです。AIの出力をそのまま信じると誤解が生じるように、人の早合点もまた、真価を取り逃がすリスクをはらんでいます。

ではどうすればよいか。私はむしろこれをチャンスと捉えています。相手が「知ってる」と感じるくらい馴染みのあるフレームに落とし込むこと自体は悪くありません。重要なのはその先で、「決定的に違う一点」を明確に提示することです。

「似ているようで実はまったく違う」ことを短く具体的に示すと、相手は初めて“誤解”から“理解”へと視点を切り替えることができます。

AIの誤表現も、人の早合点も、本質的には同じ「既知に未知を押し込む構造」から生まれています。だからこそ、誤解が生じるポイントは、逆に自分の強みや革新性を伝えるチャンスでもあるのではないでしょうか。