ミュゼプラチナムの運営会社社長・高橋英樹氏の「皆さんにも責任がある」という発言が物議を醸しています。
確かに、経営者が苦境の中で愚痴のように漏らしてしまう気持ちは理解できます。現場での努力や工夫が十分とは言えず、もどかしさを感じることもあるでしょう。しかしながら、経営悪化という結果に対する責任の所在という観点から見れば、この発言は完全に的外れと言わざるを得ません。
経営者の本来の役割は、限られた経営資源(人・モノ・金・情報)を適切に配分し、組織としての最適解を導き出すことです。これは現場の従業員が担うべき領域ではありません。むしろ、従業員は経営が示した方針と計画(Plan)に基づき、実行(Do)する立場にあります。PDCAで言えば、PlanやCheck、そしてActionは経営や本社の役割が大きく、現場は主にDoを担うのが基本構造です。
よって、どれだけ従業員に研修を施し、デジタルツールを導入したところで、そもそもの戦略が曖昧、あるいは欠落していれば成果など望めるはずもありません。上流の戦略が整ってこそ、現場の力が最大限に活きるのです。
経営者が現場の努力不足を責める前に、自らの戦略と意思決定の適切さをまず振り返るべきではないでしょうか。トップの責任を明確に認識し、戦略と実行の接続こそが真の経営の本質です。昨今の経営悪化にともなう人員削減など痛みを伴う改革の多くは、その会社で働く従業員が受け止めることになります。今回の発言は、改めて経営者の責任を私たちに突きつけています。
