製薬業界の売上と給与の関係を、構造可視化手法で分析しました。
結果は、“勝者総取り”の売上構造と、報酬の均質性という対照的な結果となりました。
🔹 売上:強者に集中する「べき分布構造」
売上高は上位数社が市場の大半を支配する一強多弱型の構造です。
R&D力やブランド力に裏付けられた構造的優位が、成長の加速と格差拡大を生んでいます。
「散布図と構造分析の比較」
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🔹 給与:業績と連動しにくい「均質構造」
一方で給与の分布はなだらかで、企業間の差が小さい傾向にあります。
組織年齢・職能・資格体系に縛られた報酬構造が、業績との連動性を弱めているようです。
🔹4つの構造ポジション
| 区分 | 特徴 |
| 🟥 A:集中・高効率(強者) | 売上も給与も高い。支配力と人材価値を両立。 |
| 🟩 B:分散・高効率(挑戦者) | 中堅規模ながら報酬が高く、成長意欲が強い。 |
| 🟧 C:集中・低効率(停滞) | 売上は高いが給与が低く、成熟化が進む。 |
| ⚪ D:分散・低効率(脆弱) | 規模・報酬ともに低く、再構築が必要。 |
🔹 戦略的示唆
売上と給与の相関はr=0.65程度。
つまり「規模が大きい=報われる」とは限りません。
経営効率の最適化が進む一方で、分配構造の硬直化が浮き彫りになっています。
企業の競争力は、人の能力ではなく「構造の設計」にあります。
誰を変えるかではなく、仕組みをどう変えるかが問題です。
「業績を基盤にした賃上げ要求」は、構造的に意味があるのか?
春闘では毎年のように「業績が改善したのだから、賃上げを」と要求が繰り返されます。
しかし、この分析結果から見ると、これはあまり意味を持たない場合が多いのです。
🔹 1. 業績と給与は比例しない構造
多くの企業では、業績と給与に明確な連動関係が見られません。
報酬体系が「職能・等級・年次」に基づく固定構造のため、
売上や利益が伸びても給与に反映されにくいのです。
つまり、「業績が上がった=給与を上げるべき」というロジックが、
そもそも組織設計の前提に組み込まれていません。
🔹 2. 春闘は“分配交渉”、構造交渉ではない
春闘は成果の分配をめぐる交渉であり、報酬決定の「仕組みそのもの」を変える交渉ではありません。
しかし実際に格差を生み出しているのは、分配結果ではなく分配の構造(ルール)です。
分配比率を数%変えても、構造が同じなら長期的な改善にはつながりません。
🔹 3. 本当に意味のある要求とは
持続的に意味のある交渉は、「結果(賃金)」ではなく「仕組み(構造)」を変えることにあります。
例えば、
- 利益配分率や人件費率の透明化
- 成果連動型の報酬体系への移行
- 職能や等級制度の柔軟化
- DXや生産性向上による再投資モデル化
これらは単なる賃上げではなく、報酬の構造改革です。
🔹 結論:これからの春闘は「構造交渉」へ
業績を基盤にした賃上げ要求は、短期的な成果をもたらすかもしれません。
しかし、真の課題は報酬がどのように決まるかという“構造設計”にあります。
これからの春闘は、「賃上げ交渉」ではなく、“構造交渉(Structure Bargaining)”へと進化すべき時代に来ているかもしれません。

