表面的な演出はブランディングの本質ではありません

「ブランディング」という言葉を聞くと、多くの方がロゴの刷新やパッケージデザイン、広告コピーなどを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、これらはあくまでブランドの“象徴”にすぎず、ブランディングの本質ではありません。

本来のブランディングとは、

「顧客の心の中に、自社がどのように位置づけられているのか」

というブランドの“実態”を把握し、それを自社の“ありたい姿”に近づけていくための戦略的な取り組みです。


一人よがりのペルソナは、ブランド構築を誤らせます

近年、多くの企業がペルソナやカスタマージャーニーといったフレームワークを活用して、顧客理解に取り組んでいます。それ自体は有益な手法ですが、問題は「自社にとって都合のよい理想像」をペルソナとして描いてしまうことです。

たとえば、「SNSに強く、自己投資意欲が高い30代女性」といったペルソナと自社のブランドイメージがマッチングしているかどうかの検証がないまま戦略に組み込まれると、マーケティング活動が“現実”から乖離してしまいます。

このように、企業の内側だけで完結してしまう「理想の顧客像」に基づいたブランディングは、戦略ではなく幻想です。


顧客の中にある“真のブランドイメージ”を知るには

それでは、どのようにして顧客の中にある“リアルなブランドイメージ”を把握すればよいのでしょうか。

ここで有効なのが、DXS Stratify®を用いたマトリクス分析です。

たとえば、一般用医薬品領域であれば、横軸に自社および競合他社、縦軸にセグメント(目薬・スキンケア・内服薬など)を設定し、各カテゴリにおけるロイヤルカスタマー比率を比較します。すると次のような知見が得られます。

  • 自社が最も支持されている「コアブランド領域」(守るべきブランドイメージ)
  • 潜在性はあるがまだ浸透していない「サブブランド領域」(育てるべきブランドイメージ)
  • 他社に明確に優位性を取られているカテゴリ(差別化や撤退の検討対象)

このように、実際の購買行動をベースとした定量的分析により、企業視点ではなく顧客視点でブランドの実像を把握することが可能になります。

分析概要:DXS Stratify®を用いたブランドイメージの可視化

【マトリクス分析に用いるデータイメージ】

セグメント自社競合A競合B
目薬・アイケア
スキンケア
外皮薬
内服薬
検査薬
鼻・口腔ケア
食品・サプリ

各セルに「売上高」や「顧客数」を入力


ブランディングとは、幻想ではなく現実との対話です

ブランドは企業が一方的につくるものではなく、顧客の心の中に形成される「認識」の結果です。
だからこそ、ブランド戦略は「現実」を直視し、そのうえで「ありたい姿」とのギャップを埋めるための活動であるべきです。

その意味で、DXS Stratify®は、“幻想としてのブランディング”から“戦略としてのブランディング”へと進化させるための実践的ツールといえるでしょう。

得られるインサイト

項目内容
コアブランドイメージ(守るべき領域)ロイヤルカスタマー比率が高く、競合より優位に立つカテゴリ。
⇒ 現状の競争力が強く、ブランド価値の核。絶対に崩してはいけない領域。
サブブランドイメージ(育てるべき領域)潜在的需要があり、シェアやロイヤリティがまだ低いカテゴリ。
⇒ 育成対象として戦略的投資や差別化メッセージが有効。
競合のコアブランド領域自社が劣勢で、競合がロイヤル顧客を握っているカテゴリ。
⇒ 安易に真っ向勝負せず、差別化か撤退の判断が必要。

おわりに

ブランディングとは、一言でいえば「顧客の心の中に、望ましい自社像を意図的・戦略的に築く活動」です。つまり自社のイメージと顧客のイメージを結びつける営みです。その結び目に必要なのは、「理想」ではなく「現実」から始める姿勢です。

現実を正しく知ることで、初めて私たちは「本当に守るべきブランド」と「これから育てるべきブランド」の輪郭を描くことが出来るのです。

活用例:戦略と紐づける

活用領域意図する戦略
マーケティング守るべきブランドイメージには一貫したコミュニケーションを、育てる領域には教育・啓発・新規接点の創出を
商品開発ブランドコアに沿ったラインアップの強化、イメージ形成に沿った商品拡張
流通戦略各カテゴリでロイヤルカスタマーが多いチャネルを重点展開
広報・PR顧客が“すでに抱いているイメージ”を強調することで、無理のない印象強化が可能