「セールスがデジタル化される中で、営業は何をするべきか」

私が製薬企業に所属していた最後の数年間は、MR(医薬情報担当者)が自らの手で業務をデジタルに転換する過程にありました。面会可能な医師にもメールを送り、Webを介して情報提供を行うようになり、MRとしての仕事の存在意義が変わるのを感じました。

現在では、MRが行っていた情報提供と顧客からのフィードバックは、ほとんどすべてデジタルで代替可能になっています。この状況下で、MRは何をすれば良いのでしょうか?

人口の減少や経済の停滞により市場は縮小傾向にあり、それまでの成長型市場からゼロサムの競争市場に変わりつつあります。現在では、経営資源に勝る企業が競争を制する「勝者総取り」の状況です。

MRに求められるのは、単に売上を上げることだけでなく、市場占有率を高め、競争優位性を強化することです。競争市場には常に競合が存在します。競争優位性を得るためには、以下の点が重要です。

まず、デジタルツールを用いた顧客関係管理(CRM)やデータ分析を駆使して、個別の顧客ニーズを理解することです。これにより、医療現場での具体的な問題解決や製品の効果的な活用方法について専門的な知識を提供するコンサルティング的な役割を果たすことができます。また、デジタルマーケティング技術を駆使して、ターゲット顧客に対してパーソナライズされた情報を提供することも新しい役割となります。

さらに、地域特化型のマーケティング戦略や特定の医療機関とのパートナーシップ構築のための知識やスキルも必要です。デジタル化が進んでも、人的な関係性や信頼構築の重要性は依然として高いです。MRはデジタルツールを補完する形で医療従事者との信頼関係を築く役割を果たすことができます。

また、MRが市場の声を集め、それを基に製品やサービスの改善提案を行うことも重要です。デジタルフィードバックだけでなく、MR自身が現場から得たインサイトを活用することで、競争優位性の強化につながります。

デジタル技術の進化により、MRは新しい価値を提供し続けるために、これらのスキルや知識を習得し、顧客との深い信頼関係を築くことが求められます。企業はこれを支援するための教育やリソース提供に注力する必要があります。