ローリスクでハイリターンを得られることは通常は考えにくいことですが、ではハイリスク・ハイリターンを選択する条件とはどのようなものでしょうか。

それは自信/確信に基づいた意思決定です。

自分自身の思考や知覚などを認知し主観的に評価する能力を「メタ認知」といいます。

急速にデジタルトランスフォーメーションの進む現代社会において人工知能/機械学習アルゴリズムの構築を進めるためにヒトのメタ認知と内省の脳神経メカニズムの解明が期待されており、このような内省におけるメタ認知の統合的なプロセスは近年非常に注目されています。

メタ認知の中でも、特に自信に基づいた内省的判断はヒトの理性や想像力の基本的な能力といわれています。

例えば不確かな情報から何かを判断するには、過去の記憶の情報とそれぞれの確信度を適切に評価し組み合わせることで意思決定をする必要があります。

サルを用いた実験では、過去の経験に基づき、結果への自信・確信度が高い場合にハイリスク・ハイリターンを多く選ぶことが確かめられています。

昨今、多くの製薬企業が推進するカスタマーセントリックマーケティングは顧客の細かなニーズに対応し、売上高を維持/最大化する取り組みです。

しかしその反面、マーケティングコストは増加することになり、ハイリスク・ハイリターンな戦略と言えます。

さらに差別化を狙ったこれらの戦略は、既に多くの競合他社が模倣をしていることから同一化が進み、既に競争優位性を失っているといえるでしょう。

同一化で得をするのは市場内強者だけです。