CRMの導入は多くの業界・企業で急速に普及しています。

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で「顧客関係管理」または「顧客関係性マネジメント」という意味で使われるマーケティング用語です。

CRMが普及する背景には、新型コロナウイルス感染拡大やコミニュケーションチャネルの変化、経済の後退などにより、新規顧客の獲得が難しくなっていることがあります。

そのような背景から、製品やサービスだけでは自社製品が選ばれることが難しくなりました。

例えば消費材であるシャンプーの顧客ニーズを考えてみましょう。

シャンプーの種類には人気サロンなどで販売されている高級シャンプーから大衆向けの製品、アトピーの方向けの製品、育毛・発毛効果を謳った製品、保湿効果でしっとりする製品や指通り良くさらさらさせる製品、予めリンスが配合された製品など、用途や年齢など幅広い顧客が対象です。

個々の顧客ニーズを第一に考え、それぞれのニーズに応えるカスタマーセントリック(顧客中心主義を実現するために、自社製品を購入している顧客データを分析し利用することが重要となっています。

そのために顧客情報を一元管理することで、データに基づき顧客ごとにアプローチを最適化することで顧客との良好な関係性を築き購買意欲の向上を図ることができるというわけです。

では医薬品に対する顧客のニーズとはどのようなものでしょうか?

製薬企業に求められることは革新的な医薬品の創出を通じて人々に健康を提供することであり、医薬品に最も優先される特性は効果と安全性です。

対象によっては忍容性、簡便性やコスト、安定供給などが選択の基準となることもあるかもしれません。

医薬品の承認には臨床試験の実施により安定した有効性および安全性の成績を示す必要があります。

特に後発医薬品においては先発医薬品と成分や規格などが同一であることを保証に承認され販売されることから、特に競合他社製品との差別化が図りにくい製品です。

医薬品ビジネスは様々な法的保護があり、コモディティ化しやすい究極のレッドオーシャンマーケティングです。

医薬品は嗜好品でも消耗品でもなく、病気に苦しむ人にとって必需品です。

理解すべきは処方をする医師が対象のカスタマージャーニーだけではなく、エンドユーザーとなる患者のペイシェントジャーニーの2つの側面が必要です。

消費財ビジネスに比べて顧客のニーズが瞭然とした医薬品ビジネスにおいて行うべきベストな手段としてのCRMは異なるはずです。