戦略を考える時、市場/顧客と自社の関係は重要ですが、それだけでは十分ではありません。

もう一つ考えるべき重要な要因があります。

それは競合です。

なぜなら競争市場には必ず競合が存在するからです。

市場/顧客と競合、そして自社による3つの視点は、大前研一氏が既に3C分析で述べている通りです。

昨今では生産性向上のためにMRの削減する傾向が続いています。

利益が低下する理由として、2つの原因が考えられます。

一つは売上高が減少していること、もう一つは販売管理費が増加していることです。

営業部門は労働集約型のため人件費の割合が高くなる傾向が強く、そのため人員削減は利益の向上に効果的です。

では売上高の増加に対する人員削減の影響はどうでしょうか?

3Cの視点から考えると、適正な人員数は競合の戦力を上回ることです。

医薬品ビジネスにおいて、戦力量は非常に重要なファクターです。

製薬業界は政府により様々な保護を受けています。

特許による競合からの保護、薬価制度による価格競争からの保護です。

そして、さらにもう一つ重要なことがあります。

医薬品は高度な情報を伴う製品です。

製薬企業は顧客が知り得ない非常に多くの情報を有しています。

これによって製薬企業有利な不完全競争の状態を得ています。

しかし昨今では、製薬企業は顧客が自社製品の情報にリーチしやすいように、デジタルによる整備を推進しています。

顧客は自社製品の情報だけではなく、競合製品の情報を入手することで容易に比較することが出来るようになりました。

これは製薬企業が有利は不完全競争の状態を手放し、顧客が有利な完全競争に自ら進んでいるのと同じです。

政府の製薬企業に対する様々な保護は、反面で同一化を招き差別化が働きにくい状態です。

競合他社に対して優位性を得ることは簡単ではありません。

「量」と「質」を考えた場合、同一化した市場では競合を量で上回るしかありません。

市場規模が縮小する現在は、勝者と敗者を生むゼロサムゲームです。

競合に勝つための理論とプロセスが必要です。