社会の情報化が進むにつれて顧客自身による情報収集もさかんに行われるようになり、その結果として競合への乗り換えなど既存顧客を失うリスクが増えました。

縮小市場では新規顧客の獲得が難しくなり、一度競合に奪われた顧客を取り戻すことは容易ではありません。

顧客を失わないために、既存顧客の満足度を向上させる個客ごとに最適化された価値提供が必要になってきています。

そのため、多様化する顧客のニーズに対応するために個客情報を集め、個客ごとに最適化されたOne to Oneマーケティングの必要が出てきました。

One to Oneマーケティングとは、個客ごとに最適化されたアプローチにより、購買行動につなげるマーケティング手法です。

過去の購入製品やWebサイトの閲覧履歴などから興味の対象物を絞り込む手法は、皆さん自身も経験しているでしょう。

そもそも医薬品ビジネスでは、個客一人ひとりをMRが訪問・面会し、個客ごとに最適化された営業を行うOne to Oneマーケティングでした。

これまで、製薬会社から医師への情報提供は、MR(Medical Representative:医薬情報担当者)が担ってきましたが、情報提供ガイドラインよるMRの活動の規制強化や、コロナ禍により顧客との対面営業が困難となったことから、製薬企業ではMRに代わるコミニュケーションチャネルとしてデジタルにシフトする動きが進みつつあります。

パンフレットや資材を携えて医師が出てくるのを待ち続け、その移動中に急いで自社製品を紹介するコロナ禍以前では当たり前のように見られたMRの営業活動は消えつつあります。

長く製薬業界のスタンダードであったMRに依存する営業体制からの転換し、顧客との新たなコミュニケーション方法の確立することは製薬企業にとって喫緊の課題です。

これまで、MRによる直接的なコミュニケーションに依存していた製薬企業は自社で運用するWebサイトやコーポレートサイト、オンラインで実施するセミナー、オンライン面談によるディテーリングなど、コミュニケーションの場をweb上に移行する企業が増えつつあります。

しかし、その成果は、データベースドマーケティングのリミテーション①でお示ししたように、まだ発展途中のようです。