今日ではデジタル技術の活用により新しいビジネスを生み出したり、業務プロセスを革新したりするDXの推進や、UXや顧客満足など、製品・サービスを通して顧客が受け取る価値の最大化のためにCXを推進する製薬企業が増えています。

ではなぜ、製薬企業はこぞってDXやCXを取り入れるのでしょうか?

様々な法規制や新型コロナウイルスにより顧客との面会機会が減少することでコミュニケーションの形が変わるなどの影響を受けていることも要因です。

しかしさらに大きな影響要因は景気後退による市場の縮小、すなわち市場ライフサイクルが成長期を終えて成熟期から衰退期へとフェイズが移ったからです。

飽和期ではさらなる市場拡大が期待できないために『多様な顧客ニーズ』に対応し潜在市場を掘り起こすことで新たな市場を開拓する必要があります。

また、製品そのものへの顧客ニーズは既に満たされているため、製品でなくサービスなどのソフトによる販売革新を行うことで価値提供を行おうと試みます。

情報提供のコミニュケーションチャネルのデジタル化など、『DX推進』によって『価値提供』などです。

これらは多くの製薬企業が既に取り組んでいるため、コモディティ化することで差別化がしづらく競合に対して競争優位性を得ることが難しい状況です。

さらに競合に優位性を得ることができたとしても、その市場規模は僅かなものです。

また、当初は付加価値や潜在的なニーズに対するブルーオーシャン戦略が成立してもライフサイクルが進めばいずれ競合が参入しレッドオーシャンとなる可能性が高いでしょう。

小さな市場に多くの競合が参入する状況になればそれこそレッドオーシャンにおけるレッドオーシャンとなってしまいます。

僅かな新規市場に経営資源を投入するか、それとも既存市場に経営資源を投入することで占有率を高めるか。

あなたならどちらの戦略を選択するでしょうか?