ここまで様々な情報の収集方法やデータソースについてご紹介してきましたが、それらの情報を活用してどのようなことが出来るのかイメージしておきましょう。
これまで外部環境分析として市場と顧客状況の分析をしてきました。
今日は顧客の治療方針、処方傾向および競合状況を検証するための薬剤の使用状況を調べる方法です。
それは厚生労働省が公開するNDBオープンデータです。
情報としてはIQVIA社のDDDの方が最新で細かい数値データを得ることが出来ます。
NDPでは年齢別、都道府県別の薬剤の使用量を知ることが出来ます。
情報は組み合わせることでより詳細に見えてきます。
内閣府が公表するSCRでは絶対数は分かりませんが、各診療行為の実施状況が全国平均に比べて多いのか少ないのかを判断することが出来ます。
検査の実施状況が高ければ患者のスクリーニングが積極的で、新患や効果不十分例の発掘がし易いと言えます。
また専門医の比率と合わせて検証することで十分な医療が提供されているのか判断の目安にもなります。
エリアマーケティングの話題が続いたので気分転換に別の話題を取り上げてみます。
3回目のワクチン接種ですが、1回2回目とは異なり、接種に対して必ずしも積極的ではない方が存在します。
ワクチン接種の判断は自由意志にゆだねられていますので、それぞれの考え方によって影響を受けることになります。
接種する、しないの判断基準となる要因にはどのようにものがあるか、それが分かれば顧客の消費行動を推測することが出来るかもしれません。
定量情報として入手できるデータには限りがありますが、わくわくキャンペーンなど、インセンティブが影響することもあるかもしれませんね。
必要な医療が供給されているのか?
施設の他に医師についても把握しておく必要があります。
専門医数が少なければ非専門医が診療を担っていることになります。
情報提供においても専門医に対する情報と非専門医では異なってきます。
千葉市が市立青葉病院と通院サポートプログラムの実証実験を開始しました。
通院困難な患者の足を確保することが狙いのようです。
専用アプリで予約することで、病院までの移動や院内のサポートをするスタッフの手配、調剤薬局での薬の受け取りが可能です。
市場/顧客ニーズ、競合と自社の3Cの視点から検証してみました。
通院ニーズは急性期病院よりむしろ慢性期病院で高いことが予測されます。
市が運営するプログラムなので市立病院が対象となることは理解出来ますが、やはりニーズは周辺エリアでこそ高いでしょう。
戦略プラン二ングでは顧客への価値提供も重要な要因の一つです。
病床機能によって使用される薬剤は異なります。
施設毎の病床機能と患者の流れを把握しましょう。
当然のことですが、全ての機能を1人の担当者がカバーしているわけではありません
エリアマーケティングが重要な理由です。
地域医療構想においてDPC病院を知ることは患者の流れを知ることにになります。
急性期機能を役割とするDPC病院から患者が後方支援病院へと流れてくからです。
DPCデータを見れば各DPC病院が主に診療する疾患群が分かるので自社製品の対象患者をフォローすることが出来ます。
それ以外にもDPCデータから知ることが出来る情報は沢山あります。
活用しないと損ですね。
トリートメントフローの各段階での捕捉率が分かれば潜在市場の規模が分かります。
既存の顕在化した市場以外に経営資源の投入によって攻略出来る潜在市場があるのか、あるいは経営資源を投入しても期待したいリターンが得られないことが分かれば無駄な経営資源を使わず効率よく使い切ることが出来ます。
トリートメントフローから各段階での数値を用いてモデル式を書けば、どのフェーズに経営資源を集中するべきか明確になります。
注力すべきフェーズに対する活動計画を立てることで目的とゴールが明確となりKPI設定も具体的にすることが出来るというわけです。
特定健康診査・特定保健指導に関するデータを確認してみましょう。
データから対象者数、受信者数、該当者数が分かります。
これらの一連の流れと対象者の推移を把握することでトリートメントフローを数値化することが出来ます。
トリートメントフローを数式化すればモデル式を作成することが出来というわけです。