医薬品ビジネスでは多くの法規制や制約が存在します。

マーケティング・プラン二ングの自由度は狭く競合との同一化が避けられないため、多くの場合でレッドオーシャン・マーケティングとなります。

そのため、探索型のマーケティング・プラン二ングプロセスでは効率が良くありません。

適応症やガイドラインでの位置付け、処方医や薬価など予め変えることの出来ない要因からSTP分析を行ったうえで、外部環境分析、内部環境分析を進めると良いと思います。

しかし、ただ単に適応症や処方医などからSTPを設定するような全体市場を対象としたマーケティング・プランでは大雑把すぎます。

市場細分化を行い着実にシェアを拡大するようにします。

外部環境分析では市場と顧客、そして競合の分析を目的に実施します。

市場分析では、対象となる疾患対象患者数や将来予測、治療状況、薬剤の使用状況から、市場規模はどの程度か、今後、拡大するのか縮小するのか、その要因は何かを洗出します。

顧客分析では、顧客の顕在化しているニーズと今後予測される潜在的なニーズは何かなどの要因を洗出します。

また競合分析では、競合の戦略とリソースの調査・分析を目的に実施します。

業界内での競争や新規参入者の存在、代替品の有無と顧客・サプライヤーの交渉力を検討し、特定の競合においてさらに詳細に分析を行います。

外部環境分析のビジネスフレームワークの代表格がPEST分析です。

マーケティング・プラン二ングの目的は競争市場において競争優位性得ることです。

市場には2タイプのビジネスプレイヤーがいると言われています。

それは売手と買手です。

さらに売手には自社だけではなく、競争市場には必ず競合が存在します。

自社と競合、そして顧客の相対的な関係を明確にするための分析が3C分析です。

なぜなら、自社の強み・弱みは競合と顧客によって常に相対的に変化をするためです。

競争優位性を得るためには変化を捉え、柔軟で俊敏に対応する必要があります。

戦略とは「必ず勝つ、絶対に負けない」ことであり、勝つか負けるか分からないのは戦略とは言えません。

競争優位性を得るために、常に3Cを意識しておきましょう。

マーケティング・プラン作成のプロセスは、市場/顧客および競合の「外部環境分析」と「内部環境分析」による自社の分析を行い、それらの結果から相対的に自社の強み・弱みを抽出した上で、セグメント設定、ターゲット設定、ポジション設定を行います。

STPの設定に基づいて実行戦略プランを策定し、実際の実行状況をトラッキングしながら分析、修正を繰り返します。

「ビジネスフレームワークの課題」で取り上げた通り、多くのビジネスフレームワークは、主に市場拡大期にみられるブルーオーシャン・マーケティングを狙ったマスマーケティングを目的とした手法です。

ターゲット・マーケティングが主流の現代の医薬品ビジネスに応用するためには医薬品ビジネスの特殊性に合せて再構成する必要があります。

マーケティング・プラン作成のプロセスは、市場/顧客および競合の外部環境分析と内部環境分析による自社の分析を行い、それらの結果から相対的に自社の強み・弱みを抽出し、セグメント設定、ターゲット設定、ポジション設定を行います。その上で実行戦略プランを策定し実行状況をトラッキングし分析、修正を繰り返します。

【ビジネスフレームワークの課題】で取り上げた通り、多くのビジネスフレームワークは、主に消費財マーケティングで用いるマスマーケティングのプランニングに用いることが目的です。

ターゲット・マーケティングが主流の現代の医薬品ビジネスに応用するためには再構成する必要があります。

マーケティング・プラン二ングの場で用いられるビジネスフレームワークの多くが、1960年代から80年代に提唱されたものです。

外部環境要因を知るための「PEST分析」やKSFを抽出する「3C分析」など、現代でも多くのビジネスの場で用いられています。

60年代といえば、日本では戦後の高度経済成長期であり、需要が供給を圧倒的に上回っていた時代は、「つくれば必ず売れる」という市場環境であるためにマーケティングに求められる要素も今とは全く異なっています。

高度成長期のマーケティングの特長はProduct Outとマスマーケティングです。

分散市場に存在する不特定多数の顧客すべてを同じように扱い、販売量に基づいて利益を上げることを目的としたマーケティングです。

しかし現在では少子高齢化による世界的な景気後退に向かており、既に市場は成熟期から衰退期に向かっています。

フィリップ・コトラーが提唱するマーケティングも時代と共にアップデートされています。

そのため、いかに既に確立し汎用されているビジネスフレームワークであってもそのまま使用することは出来ません。

マーケティング・プラン二ングでは現状の理解と近未来予測を行うために、市場および顧客の理解/分析、競合の理解/分析、そして自社の理解/分析を行う必要があります。

誰もが理解できるマーケティング・プラン二ングを行えるように思考整理をサポートするツールが共通言語としてのビジネスフレームワークです。

ビジネスフレームワークを活用することで、SMARTかつMECEなマーケティング・プラン二ング作成のプロセスを標準化することが出来ます。

貴社ではMRの評価に売上実績を組み込んでいるでしょうか?

もしそうならMRは医療従事者を対象とした営業担当者だということです。

営業担当者である以上、販売だけではなく営業、つまり購入意思のない顧客の行動変容を起こし自社製品の処方を獲得する必要があります。

顧客の行動変容を引き起こす最も効果的なコミュニケーションチャネルは対面営業です。

しかし新型コロナウイルスによる医療機関側からの訪問規制強化や製薬会社による自主的なMRの訪問自粛によって、いつも廊下に立っていたMRがある日を境にピタリといなくなる現象が起きています。

対面営業を行うためには病院が定めている訪問規制をクリアする必要があります。

この課題を目の前にして、試行錯誤を繰り返しているMRも多いでしょう。

私がMRをしていたコロナ以前から同じような課題は存在していました。

医療機関が定めた訪問時間に医局に戻る医師は少なく面会機会はほとんど得られません。

しかし売れているMRはどこかで医師と面会しコミュニケーションを取っています。

訪問規制など構わずにゴリゴリに直接訪問を行っているMRだって少なからず存在します。

訪問ルールを逸脱することはお勧め出来ませんが、訪問時間に面会が出来なければ直接訪問のためにアポイントを取る方法を考える必要があります。

アポイントの取得自体が困難なら、電話での呼び出しやメールなどの手段を考える。

今思えばこれらはリモート営業ですね。

訪問規制があるからと言って病院への訪問活動をしなくても良いという理由にはならないでしょう。

会えない顧客にどのようにして面会するか、これは永遠のテーマです。

優秀なMRならば知恵を絞って顧客に面会する方法を考え、病院の中に入る“理由”をいかに数多く作り出せるかどうかがMRとしての優秀さの証明でもあります。

昨今のデジタルマーケティングの推進により、対面営業の努力は求められず、いかにオンライン営業を行ったかをKPIとしてトラッキングされる現状があります。

それでは期待した処方インパクトが得られていない状況を生むのも仕方がありません。

チャルディーニの法則はマーケティングや営業において広く活用されています。

顧客の要求に対してはどんなに小さなことでも応えることで「返報性」が期待出来ます。

頻回に訪問したり、最初から強く売り込まないことで顧客の警戒心が薄れ「好意」に結び付きます。

また、自社製品をアピールする際には「社会的証明」として論文やオピニオンリーダーの意見を引用します。

顧客から評価や処方理由を聞き出すことで「一貫性」の心理に働きかけ、処方の継続率やリピート率を向上します。

差別化を行い他との違いアピールすることで「希少性」があると顧客の心理に植え付けます。

Dr to Drによる講演会などで「権威」を高めることも有効な戦略プランです。

これらを繰り返すことで「ザイオンス効果」が得られます。

このように、ビジネスではさまざまなシーンで心理学の法則を取り入れることができます。



コロナ禍で顧客との面会が困難となった多くのMRは在宅勤務をしながら営業活動を続けています。

医療機関への訪問が制限されている昨今ではデジタルツールは欠かせないものとなりつつあります。

Web会議システムを活用したリモート面談や、Web講演会などのデジタルツールを活用した情報提供活動を行っています。

「リモート×デジタル」で検索すれば数多くのDXプロバイダーの製品紹介がヒットします。

一方で、MRのオフライン営業が減ったことで新薬の口座開拓や新規処方の獲得においてインパクト不足も露見してきました。

コロナ禍や働き方改革によって、多くの知識集約型や資本集約型の業界でのリモート(在宅ワーク)が増えています。

お互いが在宅ワークであれば訪問型の営業スタイルよりもリモートでのは双方にメリットがあります。

しかし労働集約型ビジネスである医療機関の顧客は在宅ワークをすることは不可能でリモート化は必ずしも良い面ばかりではありません。

MRの訪問は顧客が身動きできないからこそ貴重な情報源となり得ます。

MRが面会できにくくなっているのと同様に、顧客側も外部との接触やセミナーなどに参加できない状況だからです。

そのような状況ではMRが提供する情報は貴重な情報源となります。

自ら身動きできない顧客にとって必要な情報を届けることで訪問営業の価値が高まります。

医療機関は受診抑制やコロナ感染による入院の紹介患者数の減少など多くの問題を抱えています。

ターゲット医師だけではなく経営に関わる方に、社会の変化や業界の動きなど、積極的に情報提供すると喜ばれるでしょう。