皆さんはアステラス製薬がMR職の給与体系廃止したニュースはご存知だと思います。
全社共通の給与体系に統一されることで大幅減額が懸念されています。
医薬品業界も人員削減から給与の減額まで行われるようになってきましたね。
製薬企業の早期退職のニュースは麻痺してしまう程、ありふれた事柄になりつつあります。
ハーバード・ビジネス・レビューで興味深い論文を見つけたのでレヴューしようと思います。
「安易な人員削減では目先の効果すら得られない」というタイトルは目を引くものがあります。
昨今では、人員削減はビジネス環境の変化に対する企業対応のデフォルトとも言えるほど頻繫に行われるようになってきました。
論文によれば、人員削減は短期的な利益のために行われますが、多くの場合で状況の改善に役立つことはないそうです。
人員削減は、評判の低下、知識の喪失、エンゲージメントの弱体化、自発的な離職率の上昇、イノベーションの低下を引き起こし、長期的には従業員と会社の収益性の両方に損害を与えることになります。
人員削減は1970年代から増加しており、1979年にはフォーチュン100企業の5%未満が、1994年には45%が人員削減を行っており、さらに2008年から2011年まで65%にまで増加しています。
その結果、株価のマイナスや収益性の低下が続いたことが報告されています。
また、人員削減をした企業としない企業では2倍の確率で破産を申請する可能性があるそうで驚きです。
さらに残った人員の職務遂行能力が20%低下、仕事の満足度が41%低下、組織のコミットメントが36%低下するなど、そのダメージは計り知れません。
労働者が少なくなることで短期的な生産性は向上しますが、営業担当者と顧客間の関係を断ち切る可能性など将来的に再び生産性の低下を招きます。
結果、人員削減を繰り返すことになるのです。
そう言えば定例行事のような製薬会社も思い浮かぶような、、、
では、残った人員はどうなるでしょうか?
ほとんどの場合で賃金は1年後に悪化し、41%だけが同等以上の賃金で仕事を見つけ、26%はより低い賃金で仕事を見つけ、さらに21%は失業するか、完全に仕事を離れています。
早期退職の募集を心待ちにしている方もいれば、残留の意思の固い方もいるでしょう。
残っても地獄、辞めても地獄、、、これが働き方の現実といったところでしょうか?
人生設計にも戦略が必要ですね。