人はほとんどの場合、無意識のうちに直感的思考による印象で物事を判断しているそうです。

そして多くの場合、その印象が何に由来しているのか知らず、印象や直感の基になっている情報のことを考えることすらありません。

思考がどのようにして決まるのか?ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの著書、「thinking, Fast & Slow」を読まれた方もおられるのではないでしょうか。

要約すると、人には2つの思考システムがあり、システム1は物事を直感的に判断するため即時性に優れているが複雑なことには対応できない。

システム1では対応しきれない場合にはシステム2が発動する。

システム2は複雑な思考に長けているが、塾考を要し、1つのことに集中するために他のことが疎かになる上に多くのエネルギーを必要とする。

そのため平常時はシステム1に判断を任せて省エネモードになっている、ということらしい。

非常にprimitiveであり高度なシステムですね。

これをプロモーション戦略に置き換えてみましょう。

戦略でいえばニッチ戦略、集中化戦略です。

「選択と集中」により、最大市場を狙わず、着実に市場を切り崩し、ドミナント的にシェアを拡大する戦略です。

顧客にとては情報は少ない方が辻褄合わせがしやすく、情報の量と質はほとんど考慮されません。

さらに直感的印象には第一印象重視する認知バイアスが生じやすく、感情的な印象ですべてを評価しようとします。

目の前の情報だけを重視し、手元にない情報を無視するために、限られた情報に基づいて結論に飛びつく傾向は直感的思考の特徴です。

忙しい顧客ほどこの傾向にあると考えられます。

面談時間より面談回数の方がレバレッジは効くかもしれません。

そう考えると、かつてどの製薬企業も行っていた量より質を重視するSOVは理にかなった戦略と言えます。