後発医薬品に対して先発医薬品が優位性を持つための戦略

新薬は特許によって「一社による販売」が認められている「独占市場」であり、供給元である製薬会社は需要に対する一定数のみ製造/販売を行い、かつ公定価格による保護を受けることで一定の期間は独占的に利潤を得ることが約束されています。

しかし特許期間後は先発医薬品と同様に臨床試験等により確認され薬事法に基づく厚生労働大臣の承認を受ければ、どの製薬会社もその医薬品を「ジェネリック医薬品」として販売できるようになるため独占市場は成立しなくなります。

では「不完全競争市場」が成立しなくなった医薬品ビジネスは直ちに「完全競争市場」となるかと言えばそうではありません。

品質や先発医薬品メーカーのブランド力や信頼度、取引期間やMRとの関係性などにより一定数の顧客がその製品を使い続けるからです。

「完全競争市場」が成立するためには、時間経過とともにその薬品を最初に発売した製薬会社がどこなのか、市場/顧客の多くが忘れ去る必要があります。

つまり先発医薬品であることを認知されていることが重要な要因だと言えます。

そのためには競合に対して圧倒的なシェアの差をつけた市場内のNo,1であることが大前提です。

つまり戦略とは市場の占有率を上げ顧客内認知度を高めることと言えます。

しかし現実には、ほとんどの先発医薬品メーカーでは特許の切れた製品に経営資源を割かなくなるため、その経過は比較的早く進む傾向にあるでしょう。