弱者の戦略の基本は市場細分化によって競争優位性を獲得する戦い方です。

しかし状況によっては個別の顧客を攻略するのではなくエリア戦略を行うこともあります。

例えば既存薬が存在する市場に新規で参入する際に、既存薬が既に圧倒的に市場を占有している場合などです。

エリア内に基幹病院があって、そこでの採用が近隣顧客での採用に影響を及ぼすことはないでしょうか?

その様な場合には基幹病院の攻略無くしてその他の顧客での採用は困難と考えがちです。

その結果、基幹病院の攻略に全経営資源を投入することになります。

それで結果を生み出せる場合には良いのですが、既に既存薬が市場を占拠していて顧客ニーズも満たされているために自社製品の入り込む余地がないこともあります。

その様な状況でも本命本丸を攻略しようと全力で取り組み続けますが、結果が得られなければやがて経営資源も少なくなり、MRのモチベーションも下がることになります。

その様場合には、個別顧客内のシェア向上ではなく、エリア全体でのシェアを高める戦略に切り替えます。

近隣顧客が基幹病院の状況を気にするように、基幹病院も同様に近隣顧客の影響を受けるはずです。

基幹病院の顧客も自施設に訪れる患者の多くに自社製品が処方されていることを認識するようになれば検討する余地も生まれます。

つまりエリア内で影響を与えるくらいまでシェアを高めることが基幹病院の攻略につながるということです。

これは「競争目標」と「攻撃目標」の考え方にも通じますね。