デジタルトランスフォーメーション(DX)は、コロナパンデミックによるリモートワークの普及や情報通信技術の進歩により、急速に推進されるようになりました。その結果、ITコンサルタントやエンジニアの需要が急増しています。しかし、DXソリューションの導入が期待された効果を上げていないケースも少なくありません。

具体的には、導入されたDXソリューションが運用されず、生産性を妨げる原因となっているケースが多々あります。McKinseyの調査によると、企業は期待された価値の31%しか実現できていないという結果が出ています。また、Boston Consulting Group(BCG)の調査では、DXプロジェクトの約70%が目標を達成していないか、持続可能な変化を生み出していないと報告されています​ (McKinsey & Company)​​ (BCG Global)​。

これらのデータから推測すると、DXソリューションが期待したインパクトを生んでいないケースは約60~70%に達する可能性があります。これは、デジタルベンダーの倒産率が高いという商工リサーチの報告とも一致します。どうしてこのような状況を生んでいるのでしょうか?

デジタルソリューションはあくまでも課題解決のための打ち手、すなわち手段です。手段には必ず実現するための目的が存在します。ビジネスにおける目的とは、経営戦略や事業戦略です。

そして戦略は常に外部環境の影響を受け、相対的に変化することを求められます。現代の市場環境は、これまでの市場拡大を前提としたレース型競争市場から、人口減少や経済の停滞による市場が縮小傾向にある、ゼロサムのゲーム型競争市場へと転換しています。

今、求められているのは打ち手ではなく、戦略(ビジネスモデル)の転換です。簡単に得られる競争優位性はまた簡単に失われてしまいます。戦略は、マーケティングなどの打ち手の上位概念であり、達成すべき目的です。

ビジネスの世界にマジックワードやベストプライスといった万能な魔法はありません。必ずそれらがうまくいくための条件や背景があります。それを導き出すのが戦略コンサルタントという存在です。