多くの製薬企業でアジャイルマーケティングが導入され始めています。

市場の急速な変化と顧客ニーズの多様化に対して、柔軟かつ瞬時に変化に対応する必要があるからです。

しかし、いくら本社でその時々の市場環境に応じた最適な戦略を立てたとしても、実際に戦略を実行する営業現場のスピードが遅くては意味がありません。

すなわち、アジャイルを機能させるためには、戦略を立てる本社と実行する営業現場の両方でアジャイルマーケティングを実行する必要があります。

アジャイルマーケティングを実行するには、データドリブンマーケティングが不可欠です。

コロナ禍では、従来のように顧客との対面を通じて取得していた定性的な情報の量が減少しています。

定量データを中心に分析と意思決定をしなければいけません。

幸いにも製薬業界は他の業界に比較し、IQVIA社等を通じて非常に多くの定量データを入手することが出来ます。

しかし、それらの豊富なデータも、その活用手法を知らなければ数字の羅列でしかなく、MRにとってはただのノイズとなってしまいます。

営業は属人的な側面があり、多くのMRは経験や感覚的な、主に定性情報に頼って意思決定をして来た経緯があるからです。

状況に応じて戦略、攻撃目標となる競合製品、フォーカスする疾患、訴求すべきテーマは変化していきます。

営業現場でも簡単に出来るデータドリブンマーケティングとアジャイルマーケティングを導入すれば、自ら考え行動する強い営業を作り、スクラムでエリア全体を攻略する事が可能です。

多くの製薬企業ではSFA/SFEを導入されているかと思います。

その目的は効率化です。

 

営業活動の状況をデータベース化し、それを利用することにより、「営業力強化」を図るためです。

 

訪問件数、面談件数、ディテール数、訪問時間など、営業活動の状況を、定量化し分析することで、収益力と競争力の向上のために必要な活動を明確にします。

 

顧客との関係構築がMR個人の属人的な経験にとどまり、企業の財産として蓄積されなければ、組織体でありながら、単なる個人の集合体にすぎず、「組織力」を発揮できません。

 

しかし、コロナ禍の現状で顧客との面会機会が減少している中では、SFA/SFEは機能不全に陥っているのではないでしょうか?

 

元々、SFA/SFEMRには受け入れられ難い特性があります。
告書などデータ入力に多大な労力がかかるためです。

MR
からすれば、報告データの入力は本社のために「やらされている」という感覚があり、自分のために役に立っているという認識がありません。

それでは、SFA/SFE推進側と現場側の対立が起きかねません。

 

SFA/SFE推進側からすれば、せっかくシステムを投入しても思ったような効果が得られないとなれば、さらに項目や機能を追加し修正を図り、かえって、MRの負荷が増すために悪循環を引き起こす結果となります。

 

あげくに、データの信憑性が低ければ、GPSなどで位置情報が取得できるシステムを導入する事まで考えるようになります。

 

そもそもKPIを達成すれば、営業活動や顧客における問題を解決出来るわけではなく、KPIを達成しても目標を達成できないのは、様々な原因が複合することで売上の増減は決まるということをMRは知っています。

 

様々なKPIによって管理され、あたかも自分がロボットのように扱われることが続くと、MRは決められた指標を達成さえすればよいと思考が停止し、自ら考え行動することをやめてしまいかねません。

 

アジャイルは本社と営業の両輪で加速する でご紹介したように、企業としての推進力を高めるためには、本社と営業現場の両輪が必須です。

 

MR自身が、データドリブンマーケティングとアジャイルマーケティングを身に着け、自ら考え、行動すれば大きな力になるでしょう。

 

SFA (Sales Force
Automation)

SFESales Force
Effectiveness